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不登校のお子さんの場合、親御さんがお子さんを連れてきます。親としては、子供が学校に行かない事は相当な恐怖であるらしく、「もうどうしたらいいのかわかりません。何とかして下さい。このままではこの子の一生は駄目になってしまいます」とすがりつくように訴えられます。
お子さんが学校に行かなくなる事には、きっかけが確かにあります。代表的な事はいじめです。しかしその他にもたくさんのきっかけがあります。ある子は教師の一言で人間不信になって、周りの人がみな影で自分の悪口を言っているような気になってしまったという例もありました。
しかし、このようなケースで私たちカウンセラーが見落としてはならないのは、親御さんの心理です。何度も書いてきましたが、いじめなどのきっかけは、きっかけにすぎないのです。その子が不登校になってしまうのは、いじめられたからではありません。元々心の中にあった具合の悪い決断が、いじめというとても辛い経験によって暴れだしたのです。少なくとも、私たち心の臨床家はそのように考えます。
元々あった具合の悪い決断とは何でしょうか。
それは【ありのままの自分では愛されない】という思い込みです。
それを調べるには、家庭環境を知る必要があります。子供にとってもっとも重要な意味のある家庭環境とは、すなわち親御さんです。不登校に限らず、お子さんが問題を起こしている場合、必ず親御さんを同時にカウンセリングします。そうしないと解決できないからです。逆に言えば、親が変われば子供は大人よりずっと早く変わっていくのです。
さて不登校のお子さんを抱えた親御さんは、みなさん少なからずパニック状態です。子供というのは自分の教育の結果(=自分の行為の答え)ですから、その子が道ならぬ方向へ転落しそうになっているという事で、たいへん自信喪失しています。「私の何がいけなかったのでしょう、もうどうしていいのか」と泣きだしてしまうくらいです。
まずは、恐慌状態になっている親御さんの話をゆっくり聞いて、落ち着いてもらいます。それから、このように質問します。
「ところで、お子さんが学校にいかないと、どうなるのですか?」
学校の成績が下がる?人生が台なしになる?社会の落ちこぼれになる?不幸になる?
これらは本当の事でしょうか。決めつけではないでしょうか。
決めつけられた考えを偏見や刷り込み、または汚染という呼び方をします。これらを親御さんの心から取り除くようにします。そうすると親御さんは焦らなくなります。それでやっと、子供はゆっくり自分の気持ちを癒したり、考えをまとめたりできるようになります。また親御さんが上記のようにひどく心配していると、子供はそのメッセージを受けて心配した通りの事に導かれて行きますので、それを予防しているのです。
それから、お子さんのカウンセリングに入ります。
「学校は好きですか?」
するとこのような親御さんは、私がお子さんに質問しているのに、「もともとは学校好きな子だったんですそれなのに…」などと自分が答えてしまいます。これは、お子さんにとってどのようなメッセージになりえるかというと、「お前は一人前でないので自分で考えたり決めたりする能力がないのだよ。私がついていてやらないと駄目なんだよ」と言われているようなものです。このようなメッセージを繰り返し受けていると、メッセージの通りに、自分で自分の事を決める事が出来ない人になります。いつまでも自立しない人間になります。
親が子供に与える投げ掛けにはマイナスのもの(お前はだめね、またこんな事して、など)とプラスのもの(良く出来たのね、とてもいいわよ、など)がありますが、上記のような親御さんは気がつかないうちに、常に子供にマイナスの投げ掛けをしています。
つまりこの親御さんは、無意識では、我が子を自立させまいとしているのです。
口では「一人前になってほしい、早くしっかりして、親を心配させない人間になって欲しい」と言います。しかし心の深い部分では「自立しないで欲しい、いつまでも私の子供でいて欲しい」と望んでいるのです。その望みの通りの事が目の前で起こります。子供は学校に行けず、カウンセラーの質問にも自分で答えられない人間になります。
不幸な人は、心の深い部分、無意識の中で、自分で「不幸になろう」と思っています。それはほとんどが悲しいことに、生い立ちの環境によって幼い自分が選択せざるを得なかった「決断」の結果です。マイナスの投げ掛けを受け続けた結果なので、本人には確かに非はないのですが、それでも自覚のないまま「私は不幸になる」という決断をしています。これを人生脚本と呼びます。
さて、話を戻しますと、このように不登校を解決しようとする場合も、親御さん共々の取り組みが必要になります。不登校の子供には何より親御さんからプラスの投げ掛けが必要だからです。親御さんには日頃の子供への接し方に気を配ってもらいます。思い込みがとれると親御さんのマイナスの投げ掛けは減り、自然と良いプラスの投げ掛けになるので、子供の心はそれに応じてどんどんほぐれて行きます。
学校へ行けなくなる子供の多くは、きっかけの問題がなんであれ、自分の感情をうまく取り扱う事ができないで苦しんでいます。自分の受けた不当な扱いにも抵抗できず、本来怒るべき処で怒れず、泣くべきところで笑っていたりします。こうして押さえつけた自分の感情がたまりにたまって、学校へ行けないという症状になって現れています。
実際はひどいいじめにさらされていたにも関らず、「自分はいじめられているのではない。あれは仲間が自分を仲間として認めているゆえの気安さだ」と思い込もうとしていたという例さえあります。このような子は出来事を湾曲して解釈する事によって自分の感情の爆発をかろうじて押さえていたために、体にも数々の心身症状が出てきます。
カウンセリングによって、体験した屈辱の数々に対して率直な自分の感情を出せるようになり、ようやく心の機能が正常化しました。当然、心身症状も自然に治ってしまいます。
感情を押さえつける事は、心の機能を狂わせる大きな要因の一つですし、体の健康も蝕みます。
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