ドメスティック・バイオレンス(2003/1/31まとめ)

数ある家庭内トラブルの中でも、もっとも深刻なものの一つが、DV(ドメスティック・バイオレンス)です。DVは、日本ではDV防止法が施行されて以来、注目されるようになりました。主に、夫婦間、同棲相手などパートナーからの暴力問題を指す事が多いようですが、本来の言葉の意味は、家庭内暴力の全てを指します。夫婦、恋人間のDVの場合、被害者のほとんどが女性、加害者は男性という構図が特徴です。他には、子供による家庭内暴力、夫による子供、妻、夫の親、妻の親などに対する暴力という構図もあります。
DVには、肉体的な被害を受ける物理的虐待のほか、言葉の暴力や態度ふるまいなどで精神的に苦しめる精神的被害があります。他には性的な行為を強要する性的被害などもあります。

加害者にも被害者にも、一定の心理的な特徴があり、心理療法でその特徴を改善することでDVから縁が切れます。加害者は、自分の非を受け入れる能力や物事を客観的に把握する能力に問題があり、正当でない理由を押し通すために暴力(様々な種類の暴力)という手段を取り込んでいます。自分が暴力を振るうのは、相手が自分を怒らせるからであるという理由を堂々と主張するなど、自己責任に関して強い認知の歪みがあります。自分にたいする憤りを近親者(多くは妻、パートナー)に転嫁して処理しようとする幼稚な行動は、自分の中にあるいくつかの自我を統合できていない為に起こります。このような性質を形成するには幼少期に受けた、矛盾のあるしつけや親の情緒が安定していない環境で育った事などが多く関連しています。

また被害者にも、自分に非がないのに自分が悪いと思い込んでいたり、自分さえ耐えれば平穏なのだと考えるなどの認知の歪んだ特徴があり、これは問題の根本から逃避する思考行動で、解決能力の著しい欠如を示しています。相手に逆らうことが出来ないという性質は幼少期に親から見捨てられるかもしれないと強い不安を抱いた事が原因であるケースが多く、こちらも幼少期の環境が被害者となる性質を作りだしています。

生い立ちに原因があるというと、多くの方が離婚家庭だとか親が荒れた生活をしていたなどの家庭を想像されますが、必ずしもそうではありません。ごく普通のサラリーマン、ごく普通の自営業の平穏な家庭にあっても、親からの見捨てられ不安などを抱く事は十分ありうる事です。親が病気や怪我などで一時的に精神的不安定な状態にあったというだけでも、子供はトラウマを背負う場合があり、あらかじめ完全に防ぐことは困難です。ただ、傾向として、親が背負っているトラウマは子供にも受け継がれてしまうという傾向は強いのです。

DVに関った場合、その素地がその人の親の世代にあった事は、非常に強く想定されるのです。

加害者であれ被害者であれ、カウンセリングやセラピーによって暴力からの離脱は可能です。DVは、暴力というはけ口以外に表現方法を持たない事が問題を深刻化しています。暴力以外の表現方法へ切り替えていく訓練と、セラピーによって自分を受け入れてもらう体験を重ねる事で、暴力は収まって行きます。
被害者は被害者にある独特の強い思い込みを解除する治療が必要です。セラピーによって、暴力を受け入れる事と、自分を受け入れてもらうことは関係がないという正しい認識が出来るようになって行きます。

子供が加害者になっている場合、家庭内で解決することは非常に困難な状態になっていますので、一刻も早く専門家にご相談下さい。被害を受けている家族も堪え難い苦しみですが、同じように暴力を振るっている側も、苦しんでいます。心理的な問題が深く関係していますので、専門家によってそれらを解く手助けが必要です。加害者が子供の場合、精神的にも未熟ですので、暴力が急速にエスカレートし、より深刻になる場合があります。犯罪の域に入る前に、出来るだけ早く手助けしてあげる必要があります。

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