幼い頃に与えられる脚本(2002/3/1まとめ)

心理学には、「人生脚本」という言葉があります。これは交流分析法で有名なアメリカの心理学者エリック・バーンが提唱した理論で「幼いころに与えられる、生き方のルールを記したプログラム」の事です。人の一生は誰でもこの人生脚本によって支配されていると言われています。
「まさかそんな、自分はちゃんと自分の意志でいろんな事を判断して生きている」と思う方がほとんどでしょうが、エリック・バーンによれば「自分自身の意志で生きている人生というが、おおかたそれは幻想である」と断じられています。にわかには信じがたい事ですが、数々の臨床例は、その人生脚本が存在する事を確かに証明しているように思えます。

例えば、こんな事件をよく耳にしませんか。

【 有名大学の教授が、下着泥棒で逮捕された。 】

教授ともあろうものが、何とばかな事をしたものだと思われるでしょう。何故、有名大学の教授という、地位も名誉も手に入れた人が、下着泥棒のような人から特にさげすまれるような軽率な行為をしてしまうのか、と。

しかし、これが人生脚本です。

この方はおそらく、教授になるまでに、様々な努力をしたでしょう。人から認められ、それなりの地位を得るには、どんなに才能があっても努力なしには成し遂げられません。この方の人生脚本には、おそらくこう書かれていたでしょう。

「私は駄目な人間だ。成功しない。」

この方は、この恐ろしい人生脚本から逃れる為に、対抗脚本を書きます。

「私は勤勉であろう。人格者であろう。人から認められる存在であろう。」

対抗脚本は、表に見えているのに対し、人生脚本の方は深層心理の中にあって普通、他人に気づかれる事はありません。つまり表向きこの方は、とても努力家で、人格者であり、周囲からも尊敬される人なのです。ところが恐ろしい事に、人生脚本から逃れるのは至難の業です。人生脚本は、対抗脚本よりも強い支配力を持ち人生の重要な局面に発動し、その人の行動を支配するからです。

教授として十分尊敬され、人格者であると誰もが認める場所に、この方は居場所を得ます。しかし、それでは人生脚本の通りではないので「居心地が悪く」なってしまうのです。そして自らを転落させるような事をしでかし、自らの人生を脚本通りに決められた処に収めるのです。

下着泥棒を働き、社会的地位を追われ、周囲の信頼も尊敬も失います。

彼は警察署で、牢獄で、思うでしょう。

「私は駄目な人間だ。成功しない。」このように人生脚本は、成就します。

だいたい、世の中の努力家で真面目な方は、多くが「私は駄目な人間である」という人生脚本を抱えて生きているようです。

人生脚本から脱却して、本当に自由に人生を生きている人は、人類全体の1%であると言われています。カウンセリングを行う事の究極の目的は、このような人生脚本からの脱却です。

いろんな心理的な問題をカウンセリングによってどんどん解消していくと、人生脚本はひとりでに書き換わると言われています。

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