摂食障害(2002/11/10まとめ)

摂食障害のクライエントさんが、最近増えています。多くの方は、ここに来られる前に、心療内科や精神科などを受診してこられ、そこでは治らないとがっかりして、ようやくカウンセリングに最後の道を求めておいでになります。残念ながら、摂食障害は、薬では治りません。心理療法が、もっとも摂食障害の治癒には効果的であるという点は、多くの医療関係者が認める処です。

さて、まずは摂食障害とは?を簡単にご説明します。

摂食障害とは、食衝動に異常をきたすもので、たくさん食べる「過食」、食べ物を受け付けなくなる「拒食」、それに食べたものを吐き戻してしまう「嘔吐」、栄養の吸収を妨げたいという意図で便秘でもないのに「下剤を飲む」などの症状に現れます。

たくさん食べて、それを吐き戻すという行動を繰り返すものを「過食嘔吐」と呼びます。昔からあったものと思われます。文献などにある狐憑きなどというものは、この症状であるように思います。(差別的ですし摂食障害を抱えている方には非常に心が傷つく表現ですので、摂食障害の方に狐憑きなどという言葉は使わないで下さいね。)最近、この過食嘔吐のクライエントさんが増えてきたなという印象を持っています。比率は圧倒的に、女性が多いです。

また、やたらと食べたくて、普通の摂取量とはとても言えないような量をどんどん食べてしまう「過食期」と、食べ物を見るのも嫌、食欲不振、食事が苦痛などの「拒食期」を定期的に繰り返すというケースもあります。過食期に嘔吐をせず、拒食期にのみ嘔吐が起こる場合など、人それぞれに症状の組み合わせが違います。しかし、ごく普通に普通の量を美味しく食べて満腹感を楽しめないならば、それはなんらかの摂食異常が起こっているかも知れません。

何か辛いことがあれば、誰でも食欲がなくなって、しょんぼりしてしまうものです。しかし、それが何日も何週間も続くようなら、これにはこころの手当てが必要です。食欲がないという事は、生物が生きる事から目を背けているという事で、放置したり、軽視したりしてはいけません。こころの手当てをして、生きる力に刺激を与える事が必要です。そうすれば心は元からもっている回復力を発揮して、体の傷と同じように、自分の心の傷を少しづつ治して行きます。

怖いのは、摂食障害を起こしている方は、これをやめたいと思う一方で、やめたくないとも願っている為に、症状を深刻に捉えようとしなかったり(逃避)、自分を冷静に客観視できない心理状態にある事が多いという事です。それによって、手当てが遅れがちで、カウンセリングに行った時にはすでに習慣化している場合がほとんどです。

習慣化すると、のどに指など突っ込まなくても「吐こう」と思っただけでトイレで自在に吐けるようになっているなど、体が嘔吐に慣れてしまっている為に、正常な状態に戻るのに時間がかかります。普通に食べようと思っている時まで、トイレに化粧直しに行くと条件反射で「トイレ=吐く場所」と体が勝手に吐いてしまうという事が起こったりします。

さて、摂食障害が治しにくいのは、表面的には「痩せているときれいである」という美意識による場合が多いのですが、これは本当の原因ではありません。多くの場合、「ありのまま(そのまま)の自分では親から受け入れられない」という思い込みによるものです。これは、幼少期に食事のしつけを厳しく受けた事や思春期に、親が太っている人をきつい言葉で非難したり、本人に太っていてみにくいと言った、などの様なシーンなどによって作られる心の傷です。

もちろん、原因となっている内容は人それぞれですが、その原因を探しだし、本人がその傷に気づかなければ、摂食障害は根本的に止める事が出来ません。

カウンセリングだけが、摂食障害を治すことが出来ると言われているのは、そういう理由からです。

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